syncrowd - seven chorus

7つの振り子の群れによる
キネティック・サウンドインスタレーション

 

本展では、会場内に大小様々な7つの振り子の群れ"syncrowd"が点在しています。"syncrowd"は、ホタルの発光や集団での拍手の同期など、日常でもしばしば見られる「同期現象」という物理現象を利用したキネティック・サウンドインスタレーションです。各振り子は、フレームの振動を通じて互いに干渉しあいながら群れ(crowd)を形作っており、その中で各振り子は物理法則に則ってまるで制御されているかのように同期(sync)していきます。

会場内の7つの"syncrowd"は、大きさによってそれぞれ独自のテンポで同期/非同期を繰り返しています。振り子がもたらすシンプルな音の反復は、干渉/揺らぎ(chorus)によって連続的にパターンを変化させ、会場全体で永続的に変化し続ける複雑な音のうねりを生み出します。その様は一見すると、より原初的な聖歌/合唱(chorus)のようでもあり、統制されたオーケストレーションのようでもあります。しかし本作品では、絶対的な統率力であるコンダクター(指揮者)不在のなか、自己組織的な在り方でそれを形作ります。物理現象が作る有機的な視覚・聴覚体験の中で歩き回ったり立ち止まったりしながら、森羅万象を司る自然の摂理に耳を澄ませ、体感することで、自由な想像と独自の発見をしていただければ幸いです。

 
 
 
 

展覧会概要

 

アクセス

所在地:神奈川県横浜市中区新港1-1
詳細なアクセス方法は、横浜赤レンガ倉庫WEBサイトをご参照ください。

 
 

ご来場にあたって

・ご来場する際に、事前に検温をお願いいたします。37.5度以上の発熱があった場合はご来場をご遠慮ください。
・ご本人や身近な方に発熱やのどの痛み、咳、強い倦怠感、息苦しさ等の症状がある方、過去14日以内に発熱や感冒症状で受診や服薬をされた方はご来場をご遠慮ください。
・会場の入口にて、検温と手指消毒にご協力ください。
・マスクの着用をお願いいたします。
・展示会場での大声での会話はお控えください。
・混雑状況によっては、入場規制を実施いたします。
本展示における感染症対策対応事項

 

Creative Label nor とは?

科学者、音楽家、建築家、プログラマー、エンジニア、ロボットエンジニア、デザイナーなど多様なバックグラウンドをもつメンバーによって2017年に発足。
活動の背景には自然現象をつかさどる普遍の法則(ピュシス)への憧れや畏怖がある。現代社会において、様々な自然法則についての科学的な研究が進み、テクノロジーを通して日常生活にも取り入れられてきたが、一方で、こういった科学的方法では掬いきれない断片が数多く存在していることも事実である。
Creative Label norは、こういった一般化された定義では捕捉しきれない領域へのアプローチを行ってきた。最先端研究で扱われる内容や自然哲学を多くの人が体験できる形に変換し、社会的な価値としてアップデートすることを目的に、空間/映像/サウンドなど多様な表現領域における手法と技術の混交によるインスタレーション作品を制作している。
こういった活動を先進的に進めることにより、「科学と芸術のアウフヘーベン」を実践し、科学でも芸術でも到達することはできない真の自然法則(ピュシス)の存在を体感させるような新しい表現・文化の創出を目指している。

 
 
 

令和3年度メディア芸術クリエイター育成支援事業採択企画展示

本展は、メディア芸術クリエイター育成支援事業・国内クリエイター創作支援プログラムの支援を受けて行われます。本支援プログラムは、若手クリエイターの創作活動を支援することにより、次世代のメディア芸術分野を担うクリエイターの水準向上を図るとともに育成環境を整備することを目的としています。文化庁メディア芸術祭において受賞作品もしくは審査委員会推薦作品に選ばれた若手クリエイターによる新しい作品の企画の中から公募によって採択されます。(dyebirth, 第22回文化庁メディア芸術祭アート部門審査委員会推薦作品)。専門家からのアドバイスや技術提供をはじめとした育成支援、国内外のクリエイターとの交流会、成果発表の機会の提供や制作費など、様々な形で本展の具体化が支援されました。 

 

▼担当アドバイザーからのコメント

山川 冬樹 氏(美術家/ホーメイ歌手)

norさんの企画はモノとしての作品への結実にとどまらず、新たな音楽的グルーヴを創り出すための方法論、あるいは作曲法として、大きなポテンシャルを秘めており、音楽史の観点から見ても注目すべき試みだと思います。その新しい音楽体験を、いかに観客が豊かな実感とともに受容し、共有していけるのか、鍵になるであろうその辺りについて主にアドバイスさせていただきました。古くから音楽は天地万物の調和を可聴化して来ましたが、そうした音楽が、現代の技術とともに回帰する場に立ち会えることを期待しています。

山本 加奈 氏(編集/ライター/プロデューサー)

本作品の第一印象は、多様で専門的なバックグラウンドを持つメンバーで構成された、norという存在を象徴するような作品だなという事でした。個々がそれぞれのリズム(好き)を持ち、集まった時にひとつの方向にむかって大きなうねりを作る。syncrowdにおける多数の振り子による「自己組織化現象」と重なり、またブロックチェーン上で構築される非中央集権的なコミュニティのあり方とも重なり、同時代性を感じました。norの芸術活動に向ける眼差しは時には真理を求める科学者のように、時には本質を追及する哲学者のように行き来しながら、一作品を超えた広がりを予期させます。4月の個展では本作の大きなテーマであるアウフヘーベンが、来場者同士の間でも起こり、ジャンルを超越した会話が始まることにも期待しています。


 

CREDIT

Planner/Conceptor:Makoto Fukuchi
Hardware Engineer:Satoshi Nakane
Software Engineer:Shuhei Matsuyama
Robot Engineer:Yusuke Seto
Sound Producer:Yui Onodera
Architect/Experience Designer:Kazuhiro Itagaki
Graphic Designer:Kohei Futakuchi
Scientist:Mafumi Hishida
Producer:Shigeyoshi Hayashi

協力
Software Engineer:
Joe Ohara
Graphic Designer:Aika Ono
Construction:Yugo Kusaka
Assistant:Ryuta Ono
Sound System Engineer:
Umeo Saito (flextone)
Sound System:Taguchi Craftec
Poster print:SHOEI Inc.